2019年で15年目を迎える認知症ケア専門士制度ですが、認知症ケア専門士としてその役割はどういったものがあるのかについて、今回は記事にします。
認知症ケア専門士は学術的側面が強い
認知症ケア専門士は、他の認知症に関する資格に比べて学術的な側面が強いです。勿論、何かに取り組んでそれを発表したり投稿したりする事もあるのですが、学問としての知識の上にそれを論文で共有するイメージです。
知識をどう活かすか
その知識をどう活かすかという点が経験上最も認知症ケア専門士の役割としての意義があります。
私の知る認知症ケア専門士は、認知症に関する知識を伝えて啓発する事です。要介護者に関わるのは自分1人では無く複数人なので、自分1人理解していれば良いというものではないですね。そして、残念ながら介護現場では、認知症の理解が苦手なベテラン介護職もいます。聞こえてくるのは、「認知症だから」「さすが認知症やな」という言葉です。それを本人に言うこと自体が問題ですが、それも無知から来ていると思います。
例えば5感に障害が無いにも関わらず、対象の物事や行為を認識しない或いは、行動に移せない、というのは其々失認と失行といいアルツハイマー型認知症の中核症状です。つまり、それは疾患からきているので本人には、どうする事も出来ません。でもそれが、認知症の症状である事を理解していれば、一定割合の「さすが認知症やな」という類の不適切な声かけは減ると思うのです。残りはもう本人の人間性や倫理観などが絡んでくると思います。なので、認知症の症状もですがそれだけで無く、出来ないところを支援するのが介護職の本分で、わざわざ本人に出来ないことをあげつらった挙句に、認知症である事を「さすが」などとは、もってのほかではないですか?という事をよく伝えます。ひいては、認知症になっても安心して生活できる社会の実現に近づきますよね。認知症ケア専門士はそもそも、認知症高齢者に対応できる高度な専門技術者を養成することを目的に創設された資格です。 こういった現場レベルから不適切な関わりの芽を摘んで、学術的知識の拡散と事例の共有などを積み重ねる事で、認知症の理解が拡がるのと対応力が上がります。これこそが認知症ケア専門士に期待される役割です。
興味がある方は受験なさってみては如何でしょうか?認知症ケアの実務経験3年と筆記試験・論文・グループ面接で願書申し込みから、合否発表まで1年近くかかりますが、その役割は大いに意義あるものと思います。