介護の業務内容は多岐に渡りますが、意外と知られていないのが介護業務に伴う「手荒れ」です。
実際に介護士の方で手荒れに悩む方も少なくはありません。
介護の場面では直接要介護者の方の肌と触れ合う機会も多く、荒れた手で介護することにより、接触した際に痛みを与えてしまう可能性もあります。
今回は介護業務における手荒れケアの大切な理由とその予防方法について説明していきます。
そもそも介護業務はなぜ手が荒れるの?
介護の業界は大変というイメージが先行していますが、どうして介護士は手荒れが多いのかについて説明していきますね。
もちろん冬季の乾燥などもありますが、一番は水洗い業務の多さが原因となっているのではないでしょうか。
入浴介助、おむつ交換後の手洗い、生活援助としての家事業務など業務中に水道を使用する頻度が多く、どうしても手が荒れやすくなってしまいますよね。
また介護業務では衛生面に気を付けないといけないため、スタンダードプリコーション(標準感染予防策)など手洗いを頻回にする機会が増えやすいです。
手荒れのメカニズム
手は他の部分と異なり、皮脂肪線が少なく乾燥や水仕事によって皮脂と水分が失われやすい箇所です。水仕事などの外部刺激が続くことで、より一層肌の表面は傷が付き、結果として小さな亀裂(傷)が生じやすくなっています。
手荒れは、肌の表面に小さな傷がたくさんついた状態で、ひどくなると「指先がめくれる」、「手指の関節に沿って皮膚がぱくっと割れる」などの症状に繋がってしまいます。
外部からの刺激としては「水仕事」、「気温の低下」、「空気の乾燥」の3つが主要な原因のため、予防していくためには業務内容や環境面での原因をしっかりと考えることが大切になりますね。
手荒れケアが大切な理由
介護士の手荒れケアが大事な理由としては
- 利用者さんや所有物に手で触れる機会が多いため
- 感染予防
の2つが重要な理由ではないでしょうか。
先述したように介護士は要介護者に直接触れ合う機会が多く、荒れた手だと身体介助で不快に感じさせてしまう場合も考えられます。
また、手が荒れた状態だと、汚物や血液が傷口を介して感染症になる場合も考えられます。
その状態で他の利用者の介護を行うと2次感染の危険があるため、手指に傷がある状態の場合には必ず傷口が直接接触しないような配慮が必要です。
介護士が手荒れを予防や治療するためには
<手荒れの予防方法>
ではどのように予防していくことが必要なのでしょうか。
実際の介護現場ではゴム手袋やビニール手袋を活用している施設や事業所もあります。
使い捨て手袋を使用することは、手荒れ対策はもちろんですが、感染予防対策にもなるのでおすすめの予防方法の一つです。
また、多くの方が利用されるのがハンドクリームや保湿剤ではないでしょうか。
最近のハンドクリームは水に流れにくいタイプのものもあり手洗いが多い業務でも比較的ケアが可能です。
他にも清潔保持が目的の場合には、アルコールタイプのジェルなどを利用されている介護士の方もいるようですね。
手荒れの治し方
では、実際に手が荒れてしまった場合の対処法や治し方ですが「皮膚科を受診すること」を強くおすすめしたいと思います。
手荒れは皮膚が炎症を起こした状態であるため、皮膚の炎症を抑えるステロイド剤で治療することが治す事への近道です。なかには、皮膚科に受診する時間がない場合もあるかもしれません。しかし症状が悪化した状態で放置しておくことは感染経路や細菌の温床となる可能性もあり、できるだけ早く治療をすることが望ましいです。
市販の薬を使用される方も多いかもしれませんが、特に頻回に手荒れの傾向がみられる場合には、かかりつけの皮膚科を持っておくことをおすすめします。
まとめ
介護士は水仕事も多く、感染予防対策など手洗いの回数が多いため「手荒れ」になりやすい職業の一つです。
手荒れを予防する事は仕事の性質上とても大事なことであり、できるだけ手のケアにも配慮する必要があります。
介護士の手はとても大切な役割を持っていますが、ご自身と相手の身体を守るためにも手荒れの予防および治し方に関して今一度ご確認していただければともいます。